6/11(土)市川市文化会館大ホールで行われる当団とJSDバレエ教室のコラボ演奏会は、
パ・ド・ドゥ・セレクションとなっております。
パ・ド・ドゥ(Pas de deux)ってなんでしょね、という方に。
まずは用語的説明から。
バレエ用語は殆どがフランス語です。
フランス語で1、2、3・・・はなんと言うでしょう。
聞いたことがあると思いますが、
アン、ドゥ、トロワ・・・と数えますよね。
”パ”は踊り、とか、ステップ、の意味で捉えていただいてOKです。
”ド”はフランス語ではof等に相当する言葉。
なので、パ・ド・ドゥは
『2人の踊り』という意味になります。
バレエ作品中では大抵、男女ペアでの踊りである事が多いです。
ちなみに・・・
”3人の踊り”=”パ・ド・トロワ”
”4人の踊り”=”パ・ド・カトル”
”5人の踊り”=”パ・ド・サンク”
”6人の踊り”=”パ・ド・シス”
・・・となりますが、ここで、”1人の踊り(ソロ)”だけは”パ・ド・アン”とは言わず、”ヴァリアシオン(ヴァリエーション)”(Variation)と呼びます。
バレエのプログラム等では"Va"と略されていることもあります。

(C)Misako Kobayashi
では、
グラン・パ・ド・ドゥ(Grand Pas de Deux)は?
パ・ド・ドゥが単に『2人の踊り』を表すのに対し、『グラン・パ・ド・ドゥ』は2人で踊る一連の形式です。
”アントレ(Entrée)”=2人が舞台に登場する入場曲。エントリーと言ったらピンとくるかも!この曲が無く、次のアダージオから始まる作品もあります。
”アダージオ(Adagio)”=ゆっくりしたテンポの叙情的な踊り。グラン・パ・ド・ドゥを踊る場面が物語のどんな部分なのか(大抵、”愛”関係ですが)、一番表現される踊りです。
”ヴァリアシオン1(Variation1)”と
”ヴァリアシオン2(Variation2)”=女性ダンサーと男性ダンサーがそれぞれソロで踊ります。どちらが先かは作品により。
”コーダ(Coda)”= 最後に2人で再び一緒に踊ります。今回演奏する「シンデレラ」の大変静かなコーダは元々グラン・パ・ド・ドゥのコーダとして作られた曲ではない経緯もあって稀なパターンで、速いテンポの曲で2人の技比べ的な見応えのある踊りである事が多いです。
『グラン・パ・ド・ドゥ』と言うと、上記の4~5曲がセットになっており、全幕作品中のクライマックスであることが殆どです。
『ドン・キホーテ』や
『眠れる森の美女』のように主役2人の結婚式の場面であったり、
『白鳥の湖』のように黒鳥オディールが王子を誘惑するという物語の中で一番見せ場になる大事なシーンであったり、
『シンデレラ』はご想像の通り、舞踏会でシンデレラと王子が初めて出会い、踊るシーンです。
『くるみ割り人形』はお菓子の国のトリを取る真打ち登場!な感じですが、王子が踊るお相手が演出によって主人公の少女クララだったり、金平糖の女王だったり・・・このお話はまた後日。
主役ではない2人が踊る珍しいグラン・パ・ド・ドゥでは『眠れる森の美女』でオーロラ姫と王子の結婚式で、お祝いに集まった同じ作家の童話の主人公達が次々に踊る場面での
『青い鳥とフロリナ王女のグラン・パ・ド・ドゥ』が有名ですかね~。

合奏の際に、「アダージオから!」と指揮者が指示を出しても、アダージオ?アンダンテじゃないの?と演奏者が迷ってしまうことがあります。
グラン・パ・ド・ドゥを演奏する際に「アダージオ」と言ったら、それは音楽の速さ指定の事ではなく、曲のタイトルの事です!
グラン・パ・ド・ドゥの2曲目(アントレが無い場合は1曲目)にゆっくりな曲が多いので総じて「アダージオ」と呼ぶバレエ用語だとお考え下さいね。